理事のリレーメッセージ

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平成23年度(2011年4月〜2012年3月)

2012年3月 理事のリレーメッセージ

国民の選択

草原を走る家族

第180回国会が1月24日に開会したが、今国会の最大の焦点は税と社会保障の一体改革、とりわけ消費税の増税となっている。振り返ってみると1989年に税率3%の消費税が導入され、5年後には細川内閣が消費税を廃止して新たに税率7%の国民福祉税を創設する構想を発表(世論の反対ですぐに撤回)、1997年には、地方消費税1%を含んで5%に増税されたが、いずれの時も引き上げの理由は、福祉の充実であった。年末までの世論調査では、消費税の引き上げは反対、社会保障費の給付水準の引き下げにも反対という声が多かったが、最近の調査では消費税の引き上げはやむを得ないが現在の政府案には反対という声が多いという結果がでている。
そこで世界各国の消費税と国民負担率について調べてみた。まず消費税は、2010年では147か国で導入されているが、食料品の非課税や食料品などを含めた特定品目の軽減措置等があって正確な比較はできないので、標準税率だけで比較してみた。税率が25%を超える国はアイスランドの1か国で25.5%、21〜25%が16か国、16〜20%が67か国、11〜15%が38か国、6〜10%が21か国、最も低いのが日本など4か国で5%、147か国の平均は16.0%となっている。
一方、租税負担率と社会保障負担率を加えた国民負担率は、2009年のOECD(経済協力開発機構)加盟国30か国のうち、トルコとメキシコを除く28か国のデータで比較してみると、第1位がデンマークで71.7%、第2位がスウェーデンで64.8%、第3位がアイスランドで62.8%、日本は第24位で40.6%、28か国の平均は50.6%、最も低いのはスイスの33.6%となっている。このデータをどう評価するかは別にして、福祉水準と国民負担との関係は強いことを示していると思う。
最近衆議院の解散、総選挙が話題になっているが、各党は他党の政策を批判するだけではなく、自らの社会保障制度のあるべき姿とそのために必要な財源をどう確保するのかについての具体的な政策を明示すべきである。選択するのは国民であることを忘れないでほしい。

理事 石川 國雄


 

2012年2月 理事のリレーメッセージ

スズメがいない?

スズメ

ここ2〜3年、都市部でスズメが少なくなったなどの話を聞く。
私が住む鳩山町は、町の名前のごとく、里山の間に町があるような所で、スズメはもちろん、各種の野鳥が庭先に来ないことはない。今年の冬もスズメ、シジュウカラ、メジロ、コゲラなどが訪問してくれている。ところが、スズメが例年になく少なく、あまり感心したことではないのだが、まき餌を撒(ま)いても、例年通りに早くは無くならず、いつまでも庭の飛び石の上にのっていたりしている。こんな田舎でも、スズメにとって住みにくくなっているのだろうか。確かに、ご近所で猫が増え、野良ネコ化しており、それを警戒しているのかもしれない。しかしもっと大きくは、災害、気候変動、そして人間の住み方などの環境変化が、どこにいてもおかしくないスズメでさえ、住みにくい環境にしてしまっているのかもしれない。今日も来ていないスズメを気にしながら、多少の寂しさを覚えながら、庭を見ている。

理事 小笠原 祐次


 

2012年1月 理事のリレーメッセージ

新しい年のはじまり

(写真)日の出

2012年 謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
昨年は3月11日に思いもよらぬ大災害の襲来をうけ、続いての原子力発電所の大事故に東北東関東を中心に多くの人々が耐え難い被害を受けられ、いまだにその苦悩は続いています。

・自然の猛威を前に人間の力の弱いこと
・科学文明の先端を集約した人工発電のなんとリスクの大きなこと
・一人の力は弱いけれど、力を寄せ合うと乗り越える力が生まれる人間のすごさ
・家や物を失っても尚残る人々のつよさあたたかさ
・何ものにもかえがたい家族の存在、友人のきずな、人々の支え合い
・・・・
・・・・
・・・・

生きること、大切なもの、生き方、生活のあり方、いろいろなことを考えさせられた年になりました。
そしてあらためて人が人を支えることの大切さ、そのことを仕事にする福祉の現場の役割を思いました。

医療も教育も育児もどれも欠かすことのできない人間の営みです。なかでも人が生きること、生活することの基礎を支える福祉・介護の重要さ、住むところの確保、食事や衛生的な環境、寝具や衣服、そして自身で移動や排せつや食事ができない人々の支え。
日常の中で当然と思えることがひとたび大災害のなかで失われると、ひとつひとつのことがどれだけ重要なことで欠かすことができないことがわかります。
そして住む家があること、今食事がとれること、寒ければはおるコートがあること、どれもがありがたく感謝の日々です。

しかし実は日常的にこれらの生活の基盤を失い困っている人々も決して少なくありません。
社会福祉法人の原点を考える新しい年にしたいと思います。そして「福祉」をめざす316人+394人の仲間とともに、担当する地域に少しでも貢献できる組織になれるよう努めてまいりたいと思います。
今年も変わらぬご指導ご支援をお願いいたします。

常務理事 鈴木 恂子
(社会福祉士)


 

2011年12月 理事のリレーメッセージ

旭日双光章を受章して

秋の白樺並木

平成23年秋の叙勲で旭日双光章を授与されました。身に余る光栄です。
10月25日の閣議決定後、11月3日に受章が発表され、翌日4日に東京都庁で石原慎太郎知事から勲章と勲記の伝達をうけました。11月15日には皇居に参内し、家内共々、入院中の天皇陛下の名代として秋篠宮様から皇居豊明殿で陛下のお言葉として「長年、それぞれの務めに精励し、国や社会のために尽くされてきたことを深く感謝します」と述べられました。
「教育勅語」や「ご真影」の時代に育った私にとっては、皇居に入り、宮殿で皇族(今回は天皇陛下に拝謁できませんでしたが)に会えることなどは考えられないことでした。
大変嬉しく思っております。

理事 田口 俊夫
(田口医院院長)

※秋の叙勲では、田口俊夫理事が旭日双光章を、内野滋雄理事が瑞宝小綬章を受章されました。(ホームページ担当)


 

2011年11月 理事のリレーメッセージ

ドイツの場合

秋の白樺並木

人間は個人でもそうだが、集団として国民となった場合にも必ず美点と欠点があり、自戒を込めて言えば、日本人は歴史的に物事を徹底的に検証するのが苦手な国民性なのかもしれない。

周知のように、ドイツは福島原発事故を受け、10年後の2022年までに現在17基ある全ての原発を全廃することを決定したが、そこに至る経過報告を読んで教えられることが多かった。

福島事故後、ドイツ政府は諮問機関として「倫理委員会」を発足させ審議に入ったが、なぜ倫理なのかと言えば、匡が国民の生命・健康に関わる重要な決定を下す場合には経済・コストの面だけでなく「倫理的」に正しいかどうかを検討するためであるという。委員の一人である環境政策を専攻する若い女性教授によれば、17人の委員は宗教者・哲学者はもとより化学メーカー社長・危機管理専門家・経済学者などで構成され、脱原発派も推進派も中立派も平等に含まれているとのこと。委員会では2ヶ月間昼夜を徹して原発について討議され、その討論の様子は2回に渡りテレビ中継されて国民の100万人以上が視聴したとのこと。同教授によれば「私たちは国民に話し合いの過程を公開し、常に透明であることに努めた。これほどの重要テーマを一部の人々が密室で決めてはいけない」からと。

地震や津波の可能性がほぼ無い同国でも、予期しない事故やテロの危険性はあり得ること、事故が起これば地球全体に迷惑をかけるという倫理的な側面、あるいは脱原発による産業競争力への影響の問題は、太陽光や風力などの代替エネルギーの技術的革新とその波及的経済効果、そしてそれに伴い新たな雇用が生み出されること、等の結論を得て、「脱原発は10年以内に可能」という報告書を首相に提出し、議会も原発の全廃を決定したとの事である。

使用済み核燃料(核のゴミ)は増え続け、これを未来の世代に押しつけるのが「倫理的」に許されるのかという同教授の提言に、私は深く共感している。

理事 鈴木 龍一郎
(写真家・日本写真家協会会員)


 

2011年10月 理事のリレーメッセージ

新装待たれる緑苑

緑苑工事進行中

緑苑が、市の中心に近い現在地に新施設を建て、移転引越ししたのは今から17年前。養護老人ホームから都内初の一棟建小規模特養併設養護老人ホームへと転換。定員は、養護50名に特養30名と市自立支援ショートステイ4室を常勤職員30名の一体運営でスタート。
平成12年介護保険以降は変容する法律制度に沿い、事業体制等の軌道修正を図り、今日の安定した運営を定着させて参りました。

今、緑苑は、増築工事が進行中で年内に工事は完了し、来春4月には倍規模の多機能施設として、新装オープンが予定されています。増設部分には50名の特養居室と10名のショートステイ室、地域包括支援センター他、機能拡充に適(かな)う設備が整備されています。

今後も緑苑は、法人各施設との連携協力のもと、利用者の安心した生活を支援する確かな福祉の拠点施設として、着実に成果を積み重ねていくと期待されています。

理事 関 道子
(多摩同胞会 サービス向上担当)


 

2011年9月 理事のリレーメッセージ

オムソーリ

マリーゴールド

先日電車の中で5、6人の女子高校生がわいわい騒いでいたが、全員が「やばい」という言葉を非常に頻繁に使っているのに驚いた。この言葉はもともとやくざの隠語で、殺されたり警察に捕まるなど自分の身に危険や不都合なことが迫るときに使う言葉で、一般人は使わなかった。
これがこのように頻繁に使われ始めた背景を考えてみると、今の学生は子どものころから「個性」とか「オンリーワン」などを教え込まれ、さらに「競争に勝つ」ことを強いられ、周りには「いじめ」なども含めいろいろな危険が渦巻いていて、学生は「自分で自分の身を守らないと生きられない」と感じているのだろう。
東大の木村教授の学生を対象とした調査によれば、「人間は他人を信頼しているか」という問いに、「そう思う」と「ややそう思う」という肯定的な回答は、フィンランドでは7割を超えているのに、日本では3割に満たない。また、「この社会では気をつけていないと誰かに利用されてしまう」に肯定的に回答した学生は、日本では8割に上るのに対して、フィンランドでは2割に満たない。
格差と貧困が広がり、無縁社会、自殺、いじめ、孤独死など、「病む社会」の背後には、「孤立した個人像」が浮かび上がってくる。これは人と人との連携が失われたところに根本の原因があるのだろう。
スエーデン語に「社会サービス」を意味する「オムソーリ」という言葉があるが、原義は「悲しみの分かち合い」である。これこそ今の日本に最も必要とされることである。今回の東日本大震災で非常に多くの人々が見ず知らずの人を助けるために立ち上がったことには大いに勇気づけられた。「オムソーリ」は、これからの日本を導く羅針盤となるものと信じる。

理事 相羽 孝昭
(社会福祉法人 アゼリヤ会 常務理事)


 

2011年8月 理事のリレーメッセージ

レオナルド・ダ・ヴィンチの解剖図

ダ・ヴィンチの解剖図

ダ・ヴィンチ(1452〜1519年)は萬能の天才といわれており、画家、彫刻家、建築家としてはもとより、天文学、物理学、地理学、機械学、空気力学、また、動物学や医学、特に解剖学は天才的な解剖図を描いています。ダ・ヴィンチの解剖図は、1490〜1512年頃に描かれていますが、しばらくは世に出ることなく埋れていました。彼の筋肉の解剖図は、皮膚の表面の隆起などから始まり、彼自身が人体を解剖し、筋や腱の細密極まりない描写はその後現代に至るまでのどのアトラスのそれより優れ、芸術的です。その理由は後世のアトラスは解剖する人間と図を描く人間が違うことと、機能を考えそれを実証する、言い変えれば人間の不思議な動きや現象を自分で解剖し納得して描いたからでしょう。防腐処理もせず腐敗と戦いながらの図ですが、天才は何か腐敗を遅らせる方法を用いていたように思います。内臓などは、内分泌という考えがなかった頃ですので、彼の不思議が管などによって表現されています。例えば、出産後乳汁分泌がなぜおこるのかという疑問には、子宮と乳房の間には有りもしない管が描かれています。彼の想像力のすばらしさが窺えます。

理事 内野 滋雄


 

2011年7月 理事のリレーメッセージ

原動力は何処に

金魚

20年以上も前ですが、ある調査のためにジョウジア州アトランタ市を訪れたとき、南北戦争での焼け野原からの復興を称えて、同市にフェニックスの別称があると聞かされました。弾薬の尽きた南軍兵士の「手製の槍」が展示されている前で。そのとき私は、1945年(手製の竹槍のもとに)日本中が焼け野原になったにもかかわらず、仏・英・独を抜いて経済大国になった日本こそがその名に値するのに!と想いました。それは、人々へのいとおしさに似た感想で、ナショナリズムとは別物でした。
ある歴史小説家は、明治37〜8年戦争での海軍の歴史的完勝(これは真実!)の称揚と、大量の兵士の戦死をもたらした陸軍の無能さの隠蔽(真実の戦記を書こうとした者の青島守備隊への左遷)によって、その後の日本軍の指導部が戦術の創意工夫の力ではなく、陸軍大学や士官学校の成績により決まるという組織の金属疲労の種がまかれたと指摘しています。時代の進歩にあった戦術の練達がなく、皇軍無敗の神話に安住したまま、無謀な日中米戦争へ突入し、その結果の「焼け野原」。

震災後、日本人は理性的で、団結心が強く、組織的であるという声がマスコミから流れています。そうだと想います。しかし、それは日本の人々のことで、残念ながら指導部(政治家や幹部官僚)のそれではないようです。
原発は安全という神話に安住し、リスクを想定しなかった私達は、神話を作り出した原発指導部によって放り出され、理性的でなく・団結心も弱く・組織的ではない内閣や与野党の政治家をじっと見ています。これとは対局にある現地自治体の必死の活動、多数のボランティアの存在、被災地に職員を派遣した多摩同胞会などなど。私達はいまきっと「学習」しているのかも知れません。第1の学習は西洋の衝撃からでした。第2は焼け野原からでした。そして第3は震災と原発から。

理事 板垣 光繁
(江東総合法律事務所弁護士)


 

2011年6月 理事のリレーメッセージ

「最低基準」とコンプライアンス

雨にぬれる葉

このほど、社会保障審議会児童部会で最低基準の見直し案が確認された。児童養護施設や母子生活支援施設などの職員・家庭支援専門員や心理療法担当職員などの配置の義務化や母子生活支援施設の部屋面積を、従来1人当たり3.3平方メートルだったものを、1部屋30平方メートル以上にしたり、児童養護施設の児童1人当たりの居室面積を3.3平方メートルから4.95平方メートルに変えるなどの、見直しである。
最低基準は、施設運営の基本になる法的基準で、この基準が措置費など施設運営費、施設設置補助金の基準にもなるため、大変重要な法的規定である。高齢者関係施設では、介護保険以来、こうした最低基準は、運営基準として姿を変え、コンプライアンスの基準規定として意識される向きが大きくなっている。
最低基準は、施設の運営の基準、水準を定め、ケアの水準を確保するために、昭和23年、児童福祉施設について定めたのが最初であった。その折、最低基準は「きわめて低い基準を意味しない。現在の日本の社会経済基盤の許す文化人としての最低基準を意味する」と説明され、「具体的な基準線」は(公が)「国民経済の進展と国民生活の向上に照応して逐次たかめられてゆくべきもの」との約束であった。
今や、施設ケアの基本は、グループケア、ユニットケアなど、小規模単位のケアが基本になっている。「識者」の意見や研修では、「個別的」に「寄り添ったケア」が強調されているが、職員配置基準や居住面積は、上に見た通りの見直しに止まっており、小規模援助が出来かねる基準のままである。にも拘らず、コンプライアンスは監査の度に求められている。最低基準の当初の約束からすれば、コンプライアンス(法令)の遵守をしていないのは、どちらであるのか、明白ではないか。

理事 小笠原 祐次


 

2011年5月 理事のリレーメッセージ

原発事故に思う

五月晴れ

原発事故に思う。福島第一原子力発電所の事故を受けて、夏の電力不足が与えるであろうさまざまな影響が、どれほどの大きさになるのか不安を感じている人が多いと思う。水力発電は自然破壊と渇水、火力発電は原材料の確保と大気汚染という課題を抱え、太陽熱や風力などグリーンエネルギーの開発は進められてはきているが需要を賄うまでにはいたっていない状況にある。こうしたなかで理論的には、安全で安定して供給できる電力源として原子力発電が進められてきたと思うが、超想定外の大地震・大津波は、わが国だけではなく、多くの国の原子力発電計画の再検討を迫ることになると報じられている。しかし、あらゆる分野で電力が絶対不可欠なものになっていることも事実であり、その電力の多くを原子力発電に依存している現状からみて、ただ原子力発電を悪者にするだけではすまされない。
安全な電力源の確保や新エネルギーの開発などは専門家にお任せするとして、今回の事故は、我々にも利便性の追求を一休みして、省資源・省エネルギーに以前にも増して取り組まなければならないことを訴えているのではないだろうか。
東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災地の一日も早い復興を役職員一同でお祈りします。

理事 石川 國雄


 

2011年4月 理事のリレーメッセージ

ゆかんかな ( Go on )

桜

筑紫の門司の関 関の関守 老いにけり
鬢白し 何とて据ゑたる関の関屋の関守なれば 年の行くをば留めざるらん
(梁塵秘抄 三二八)

この歌のようにいかに関の関守とて年のゆく手をはばみ老いを留めることはできません。
私も誕生月が来ると満九十四歳、老化の波は絶えず打ち寄せてきます。
思えば、こんな長く当法人に勤めさせていただき、法人創始者中城理事長に
仕えさせていただき感謝に堪えません。
老骨渾身の力をふりしぼり微力をつくしています。

法人傘下の親愛なる同士の皆さん、
「どうぞして」創始者中城イマ理事長の初心にご賛同下され、それぞれの
個性を活用されて日々の日課にご精励下さるよう、
日々よき介護者としてご精進下さるよう心から期待しています。

中城理事長に続く勇者を待っています。

理事長 坂本 巌


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